痛みの感覚を司るのは脳であり、患部に直接治療を施すのではなく脳を刺激する事によって脳から治療し痛みの根本治療をする。
この独創性に富んだ革新的な言葉を聞いた時に私が抱いた感情は「ここアカンとこや」だった。
しかし次に或る事を考えた。
地球は丸いらしい。
上記の言葉を見た方の中には「大丈夫か?」と心配された方もおられると思う。しかし私にはその表現しか出来ないのだ。私は実際に地球の丸さを見ていない。
私が見た地球はあくまでも書籍の中であり、または映像の中だけである。実際には見ていない。ただどうやらその情報は信憑性が相当高いらしく、私はなんとなく丸いと思っているだけだ。
海岸に行き水平線を見れば確かに地球の丸さを感じる気もするが、それが球体である証拠かと言えば飛躍しすぎな気もする。私は地球の丸さを実際に知らない。結局丸いらしい、でしかないのである。
そして今この地球の片隅にある整骨院の中で同じ事が起きている。私は自分の中にある物差しで「有り得ない事」と判断している。そう、確証など無いにも関わらず手前勝手な常識の枠の中に収めようとしている。
私は地球が丸いかどうか解らない。
そして
この治療の効果も解らない。
治療する事にしますた。
治療の詳細を言えば、私が怪我をした「右肘がコキコキする違和感」と「右肘付近の打撲」に対しては特に何もせず、ハンディマッサージャーのようなもので眉間を数分刺激する――というものであった。
眉間に器具をあて
数分
カタカタカタカタカター
以上デース。
という具合である。
これで治るらしい。
このブログを読まれている方の中には「え?それマジでヤバくね?」と思った方もおられるだろう。
しかし。
先生は約束してくれたのだ。
「ヤマダッティさん。安心してください。ヤマダッティさんの打撲は必ず2ヶ月で治します!」
と約束してくれたのだ。
2ヶ月後には打撲が治っているのである。なんの心配もないのだ。
そしてそれからは来る日も来る日も
カタカタカタカタカター
カタカタカタカタカター
以上ドゥェース。
と治療を繰り返した。
そして治療を続けて約1ヶ月後、私の身体に驚くべき変化が見られたのだ。
事故当時に比べ、見違えるほど打撲が治癒していた。
確かに患部に湿布を貼っていた事も治癒に少なからず関与していたとは思うが、それは微々たるものであったと思う。やはりカタカタカタカタカターが効いていたとしか思えない。カタカタカタカタカター。
本当に2ヶ月で打撲が治る――。そんな気がしてならなかった。胸が踊った。尚この時点で肘のコキコキする違和感に関してはまだ特に効果は見られなかった。コキコキー。
そして治療開始から2ヶ月後。私の打撲は完全に治癒していた。カタカタカタカタカターが私の打撲を治してくれたのだ。私はカウンセリングの時に治療方法について先生を疑った自分自身を恥じるのと同時に、約束を守ってくれた先生に感謝をした。
ただ少し気になる事があった。肘のコキコキが全くと言っていいほど治っていない。私は先生に正直に告げた。
「先生。打撲は治りましたが肘のコキコキがちっとも良くなってないように思うのですが…」
其の質問に対して先生の回答はこうであった。
「あー。痛みは無いんですよね?2ヶ月治療して効果が無いなら、それはもう…そういうもんとして上手に付き合っていくしかないですねー。」
ソウイウモン。
この「そういうもん」という言葉の持つポテンシャルは恐ろしい。「そういうもん」とは時に諦めであり、時に「そういう星」でもある。この言葉1つで割り切らせてしまう程に汎用性が高い。
あらゆる状況下で使用でき、尚且つこの言葉にはグランドフィナーレの側面がある。印籠レベルで全てを完結させてしまう。強制終了。まさに最強なのだ。
そして私の治療は終了した。
肘のコキコキが気持ち悪くてカタカタカタカタカターって治療を続け、その度に肘をコキコキーさせてはまたカタカタカタカタカターを繰り返してもコキコキーコキコキー鳴るからカタカタカタカタカターしてきたのに最終的にカタカタカタカタカターしてもコキコキコキー治らんかったらそいうもんて!どんだけー!つーか打撲なんか2ヶ月もあればほっときゃ大概治るわーい!どどどんだけー!
そんな事が昔あったなぁ…と回顧しながらこのブログをしたためましたコキコキコキー。
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