そのエレベーターは駐車場内にあるエレベーターで1Fから4F+Rと云う構造
構造そのものは決して特異なものでなく極めて一般的なものでしょうよ
特異だったのは私がそのエレベーターに乗った際に同乗者の中に悪魔が居たと云う事
私はそのエレベーターに1Fから乗り、そして降りたい階層は4F
その1Fで私より一足先にエレベーターに乗った悪魔が自身の降りる階層の2Fを押した後私に尋ねた
「何階ですか?」
降りたい階層を尋ねてくれた悪魔
この時点では「気の利く方だなぁ」と思ったのは事実
私は「4Fです」と答えた
その次の刹那、事態は風雲急を告げる
悪魔は私の告げた4Fを押そうとしたのだろうが致命的な押し間違いをする
悪魔が躊躇わず押したボタン、それは
非常呼
ピーーーーーー
ええええええー!?Σ(゚Д゚)
悪魔「間違えてしまったぁぁぁ」
そんな間違い、ある?
エレベーターにも様々な種類があるが、そのどれも非常呼のボタンは到底押し間違いをし難い位置に配置されている
押し間違いなどが無いよう工夫・配慮された位置にある
にも関わらず悪魔は押した。常識の範疇をいとも容易く飛び越えた。此れまさしく悪魔の所業
そのボタンを押してからエレベーター内に響き渡る「ピーーー」という音
音のニュアンス的には耳鳴りの大きい音と思って頂きたい
その音を解除する術も解らぬままエレベーター内にひたすら鳴り続ける非常ベル
そんな中エレベーターは上の階層へと向かう
そして2Fに着いた時、悪魔はこう告げた
悪魔「私はここなので。すみません。」
そう告げて降りていった
ピーーーーーーー
ええええええ!?Σ(゚Д゚)
そんなん、ある?
ピーという音が鳴り響く中、私はエレベーターに残された
余りに唐突且つ理不尽な出来事を目の前にして動揺を隠せない
そして無残にもエレベーターは下の階層を目指す
そう
悪魔は結局私の目的の4Fは押していない
押したのは自身が降りる2Fと非常呼
目的を失くしたエレベーターは1Fに呼ばれた為、私の目的である4Fに向かう事なく1Fを目指しだした
つまり、このエレベーターに誰かが乗ってくる
ピーーー、と云う音が鳴り止まないこのエレベーターに誰かが乗ってくる
そんな事を考えると無性に気持ちが焦りだした
落ち着かない
そして1Fに着き、扉が開くと其処には小さい子どもを連れた家族が立っていた
そしてその家族の父親らしき男が私にこう云った
父親「上に行きますか?」
私「いいえ。下です」
どこ行く気なの俺
ピー音が鳴り止まない事で気持ちが動転していたのでしょう。地下が無いにも関わらず、1Fの時点で下に降りるなどという意味不明な事を云ってしまった
もしかしたら、この非常ベルが鳴るエレベーター内に誰かが入る事を拒みたいという思いがあったかもしれない。だから咄嗟に否定した。とは云え
ズゴゴゴゴン。とでも地表を削る気だったのでしょうかね、あの時の私は
唖然とする家族を尻目に扉が閉まる
扉が閉まるやいなや、全力で4Fを連打
連打した所で早く着くわけでもなく、意味すらないのに連打
はぐれメタルと出会った時のAボタンよろしく4Fボタンを連打
もう一度云う。連打の必要性は微塵もない
結局非常ベルの解除方法も解らぬまま4Fに着き私は降りた
降りた後も音は鳴り続けていた
責任を感じる部分はあるが私にはどう対応する事も出来なかったし、心の何処かで勝手ながら「俺、悪くないよなぁ?」と思ってしまっている
エレベーターを降りてから、にわかに冷静さを取り戻してきた
そもそも、1Fの時点で「上に行きますか?」て聞いてきた父親
上しかなくね?
なんの確認やねん
確認を取るという行為、それは最低2つ以上の選択肢があった場合に用いられる行為である
判断に迷うからの確認
地下の無い構造の1F時点で確認を取る必要性は全く無いのである
そう、はぐれメタルと遭遇した際にAボタンを連打するぐらいに無意味なのである
しかし
逆の立場で考える事も大切だ。上から降りてきたエレベーターの終着である1F
その時点で人が乗っていて、そこで降りる気配がないとすれば乗っている者の乗り方のミスであると云える
本来絶対に降りるべきシーンである。にも関わらず降りない。その光景を見た人が不思議に思う気持ちも解らないでもない。しかし
プライドが邪魔をしたのでしょうよ
私の果てしなくチープな、クソみたいなプライドが邪魔をしたのでしょうよ。
ミスである事を認めないとすれば、上に行くという選択は有り得ない
だから下に行くしかなかった。そこが何階であろうと。
結果
余計に恥ずかしい思いをした
いや、
「はい、上へ行きます」と素直に答えれば何の問題も無かった事ですけどね。当時の私の心は冷静から到底離れた所にあった
そして冷静になると「黙って乗れや」とも思ってしまう訳です。ええ、勝手は承知ですよ。もちろん。
非常呼
あれってどうやったら止めれるんですかね?
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